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医療分野の特許権侵害訴訟で日本発の第三者意見募集(パブコメ)が実施され、小林只(代表取締役社長)が意見書を提出しました。 - NEWS

医療分野の特許権侵害訴訟で日本発の第三者意見募集(パブコメ)が実施され、小林只(代表取締役社長)が意見書を提出しました。

2024年6月26日、美容医療技術に関する特許権侵害訴訟事件で、第三者意見募集が実施されることとなりました(リンク)。事件の概要はこちらが分かりやすくまとまっています(リンク)。第三者意見募集が実施されるのは、本件で2件目ですが、医療分野においては本件が初であり、その観点からも注目されています。

産業の発展、医療技術の進歩、医療現場の人道的理由という観点からは、医療関連分野の特許制度については、先端医療技術の発展と共に多くの議論が交わされています。日本では、医薬品や医療機器などの「物」は特許が認められていますが、人が実施する医療行為自体(方法・手法)は、特許権の範囲外として運用されています。一方で、米国では特許権取得が可能であり、1996年改正で特許権の効力が医師・医療機関に及ばない規定が設けられ、医療分野における先端技術の研究開発が進歩してきました。論点は、特許付与の是非ではなく、特許の活用方法であり、米国のような知財政策、および医療者の知財意識の向上(第3者によるフリーライドが阻止できず、開発技術が盗まれてしまう臨床医も多い)で対応できる考えます。

今回、小林只(代表取締役)が、現役の弁理士にご指導頂きながら、医療・知財の専門家、技術革新と社会のあり方に関する研究者、医療現場を知る者として、意見書を提出しました。本意見書が、知財と医療分野の今後の発展の一石となれば幸いです。

全文はこちら PDF)。

意見書における論点の背景と時代変遷への対応については以下が概要です。詳細は上記全文PDFを御覧ください。

  1. 医療行為は医師以外も実施する技術革新と社会制度:
     医療分野の変遷に伴う改正や解釈がおいつていない状況を記載しました。例えば、医療行為と調剤行為が混同されてきたこと。医行為が医師だけではなく、看護師や他医療職、さらには一般人にまで広がっている現状との整合性。現時点で、医行為だからといって特許付与させないとなると、将来の産業の発展の足かせになる可能性があります。この観点では、「医療行為」も特許の対象とし、医師や薬剤師看護師など医療隣接職の行為を原則免責とする法(いわゆる、川下規制)が現代の医療者のコンプライアンス意識、提供医療の標準化(医療情報共有、医療の質担保・医療安全等)、および産業発展の観点からも望ましいという意見を提出しました。
     義務教育で著作権教育が開始したように、医学部学生にも医療法学教育が開始しています。過去の「医療なら許された時代」とは異なり、現代における職業倫理を涵養する一助としても、川下規制は有益だと考えております。パソコンでタイピングできる技能と同様に、現代における一般スキルとして、知的財産が扱われることが望ましいと考えます。
  2. 医療機器や医薬品の境界が曖昧になっている現代
     近年、医療機器と医薬品の境界はますます曖昧となり、医薬品としての効果を持つ成分を含む医療機器や、医療機器としての機能を持つ医薬品が開発されており、例えば、薬剤成分をリリースする医療機器(ドラッグデリバリーシステムなど)は、複合製品として扱われる。また、心筋細胞をシート状に培養した心筋シートなど、再生医療分野かつ医療機器という複合製品も増えている。特許法69条3項における、「医薬」の再定義が必要と考えます